歴史的な采配
昨日の台湾戦、
ノーアウト満塁からのスクイズには本当に震えました。
セオリーから言えば、かなり「あり得ない」作戦です。
満塁からのスクイズはフォースプレーとなるので、
よほどいいバントをしなければホームでアウトになる確率が高い。
ピッチャー前の強いゴロなら、
最悪、ゲッツーになる可能性もある。
もちろん、空振りなどは言うまでもなく。
かつ、そこまでの危険を冒して成功させたとしても、
たかだか「同点」になるだけで、
1アウトを無条件に献上してしまう。
つまり、理屈の上では明らかに
「ハイリスク・ローリターン」な作戦なのです。
ではなぜあの場面で、
星野監督はスクイズを選択したのか。
それは、あの場面に限っては、
スクイズは決して「ローリターン」な作戦ではなかったから、
ではないかと思うのです。
勝てばオリンピック出場が決まるという世紀の一戦で、
1点のビハインド。そして7回、ノーアウト満塁。
選手の緊張も極限に達している状態です。
その場面において何よりも必要なことは、
その極度のプレッシャーから選手を解放すること。
それはすなわち、「まず同点」という状態を作り上げることに
他ならなかったのです。
事実、同点に追いついてからの日本打線は、
何かの呪縛から解き放たれたように打ちまくりました。
つまり、あの場面でのスクイズは、決して
1点を取りにいったものではなかった。
絶対に勝たなければいけない試合で
星野監督が咄嗟に決断した、
「ハイリスク・ハイリターン」な作戦だった、という訳です。
監督の采配には、相当な勇気と決断が必要です。
それが結果的に吉と出れば賞賛されるし、
失敗すれば叩かれる。そういうものだと思います。
ただ、同じ「勝ちにこだわる采配」でも、
岩瀬の継投に賛否両論が渦巻いたのに対し、
あの場面でのスクイズに異を唱える人はいなかった。
(かなり確率の低い作戦にも係わらず、です)
それは、決断の裏にある監督の想いを、選手の想いを、
それを見ている人みんなが感じ取ることができたから、
共有することができたから、ではないでしょうか。
今年もあまりいいことがない野球界でしたが、
最後に清々しい試合を見ることができて、
本当によかったと思います。
本当に、よかった。
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