アイデアっぽいアイデア
アイデアというほどではないけど、
でもちょっと企画に見えるようなアイデア、
というものが広告業界ではよく使われます。
その最たるものが「モーフィング」。
とある物体が、CGでじわ~っと変化して、
別の物体に変わるというような映像手法ですが、
これは「古い製品が新しくなる」とか、
「イケてない人がイケてるようになる」といった場合に
とにかく「それらしく」見えるアイデアなので、
一回打ち合わせをすれば、必ず一案は登場してくると言っても
過言ではないでしょう。
もちろん、そのままオンエアに至ることも少なくありません。
あとは「同ポジ」。
これ自体は映像手法をさすコトバではありませんが、
たとえば「快適な家」を表現するときに、
人物の立ち位置はそのままで、
背景だけを、室内から大自然に変化させたりする。
この場合、画面の中で人物だけが同じポジションにいるので
「同ポジ」というわけです。
さて。
「モーフィング」しかり「同ポジ」しかり、なんですが、
こういうちょっとした映像ギミック(仕掛け)が
絵コンテに入っていると、それだけで少し
「アイデアっぽく」
見えてしまいます。
ひどいCD(クリエーティブディレクター)になると、
「モーフィング」か「同ポジ」が入ってさえいえば、
それをアイデアと勘違いして
そのままプレゼンしてしまったりします。うちのCDですが。
しかも、みんな一度は見たことがある手法なので
「上がり」の映像をイメージしやすく、
実はクライアントさんでも
そこそこ受け入れられてしまうことが多いのです。
「使いやすく」、「イメージしやすく」、
何より「アイデアっぽい」という利点を持っているが故に、
次から次へと量産される
「モーフィングCM」と「同ポジCM」。
アイデアに煮詰まったときに
実はこれほど便利な手法もないのですが、
でも、だからこそ、これらを「禁じ手」にするぐらいの気持ちで、
私たちCMプランナーは
企画に挑まないといけないのだと思います。
私の斜め前、Sくんの席に置いてある
「モーフィング」篇のコンテを見ながら、
そんなことを考えた一日でした。
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